日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年3月30日気持ちを話すことを意識しよう!

 

★最近のニュースで感じたこと


最近、少し考えさせられるニュースがありました。それは国会の質疑応答において、ある国会議員がAIチャットbot『ChatGPT』で作成した質問を岸田首相に問いかけ、更にChatGPTで作成された答弁の回答例を示して首相に意見を求めたというニュースです。最近のAIチャットbotの進化にはめざましいものがあります。作成する質問や文例もまるで人間が作ったかのように自然なもので、今後様々な分野での活用が期待されています。
しかし、私はこのニュースに接して、改めて話すということについて考えてしまいました。



 

★話す目的を考える


全ての話には、その話をする目的があります。
・事実を正確に伝える
・自分の気持ちを伝える
・会社の方針を社員に理解してもらう
・自分の疑問を的確に伝えて回答をもらう など
では、首相の答弁の目的は何でしょうか。国の様々な現状の数字などを正しく答えることなどもあると思いますが、何よりも自身の考えや方針、気持ちを伝えることが目的なのでは、と思います。だとすれば、その大切な部分はAIチャットGPTでは語ることができないでしょう。AIチャットGPTは現状の数字などを正確に話し、それに独自の解釈を加えることは出来ると思います。しかし、首相が何を考え、質問事項にどういう見解を持っているのか、AIチャットGPTは正確に推し量ることはできません。こう考えると、首相の答弁は首相にしかできないものであり、AIチャットGPTに答弁を作成させても仕方がないように感じました。

 

★リーダーが気持ちを伝えることはとても大切


ところで、首相に限らず、会社の経営者や組織のリーダーが自身の考えや気持ちを社員やメンバーに伝えることはとても大切なことです。リーダーが話す目的は、組織のメンバーに、行動するための方向性や具体的な指針、留意すべきことなどを伝えることです。それを発信し続けることで、メンバーのやる気を高めるとともに、彼ら彼女らが同じ方向を向き、同じ考えで行動することを促します。それが組織全体の動きを効率的・効果的にするのです。
しかし、実際にはこの目的を認識せずに、自分の気持ちを余り語らず売上や利益などの事実を中心に話したり、気持ちを話しているにしてもおざなりな話し方をしている場面が散見されます。そうした話を聴く度に、勿体ないなぁ、と思ってしまいます。

 

★リーダーでなくても気持ちを話すことは大事


一方、リーダーではない人でも自分の気持ちや考えを述べることはとても大切です。

例えば、職場でAさんが上司に次のような報告をしたとします。
「今回の人事評価制度の変更案について、営業部から適切に運用できるか疑問だという声が上がっています。成果への定量評価を増やすべきでは、とのことです」
Aさんは、この報告の目的を営業部から疑問の声が上がっているという事実を正しく伝えることと捉えているようです。しかし、こういう話をされると上司はその解決策を自分ひとりで考えなければなりません。それが上司の役割だとしても、Aさんにも少しは考えてもらいたいと思い、少し物足りないと感じ上司は少なくないと思います。

もしAさんが営業部の話を自分事として捉えれば、話し方も上とは違ったものになるでしょう。例えばこのようなものになると思います。
「今回の人事評価制度の変更案について、営業部から~、~とのことです。今回の変更案の趣旨が営業部にきちんと理解されていないように思いますので、再度主要メンバーに説明をしてはどうでしょうか。必要であれば私が追加資料を作ります」
この場合、Aさんの話す目的は、単に事実を伝えるだけでなくこの問題を解決したいという姿勢を示すことです。事実に加えて自分の考えを付け足すことで、Aさんの仕事の価値は格段に上がってきます。

今回は、話す目的を考えた上で、気持ちを話すことを意識しよう、ということを書きました。
私たちの日常を振り返ってみると、自分の気持ちや考えを話していない場面が結構多いことに気付くと思います。これはとても勿体ないことですので、ぜひご自身の考えや気持ちを話すことに留意してみてください。

 

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